背中合わせのスケルツォ 01

科学の力でたくさんのことが解決できる時代に信じてもらえないかもしれないけれど、あたし、魔女なんです。

魔女だからってステッキ一振りで何か出来るわけじゃない。正直、あたしのどこが魔女なのか、自分でもよくわかってないんだけど……。
でもあたしの家に生まれる女の子はみんな、魔女なんだって。
だからわかんないけどあたしは魔女。 呪文も知らないし、だから唱えられないし、空も飛べないし、魔法の薬も作れないけどあたし、魔女なんだって。

うちのペットは黒猫のエクル。黒猫に生成り色ってつける母親のセンスを疑っちゃう。 ほんとは白猫が飼いたかったけど、魔女が白猫飼うわけにいかないから、名前だけでもって理由でエクルなんだって。
エクルは本当の魔女なママの黒猫。魔女の黒猫だから、あたしともおしゃべりが出来ちゃうんだ。 魔女っていうだけでなんにも出来ないあたしのお目付け役までしちゃうほんと出来たネコ!

あたしはサラ。漢字でも名前は書けるけど、カタカナで書く方が好き。 薄茶の瞳に白に近い金の髪で紗良ですって名乗っても、なんか逆にコスプレしてるみたいなんだもん。

今までは、こんな風に魔女とは名乗るけどあたしはなんにもできないって言ってたのに、ある日を境にほんとのほんとに魔女になっちゃった。 なんであたし、あんなことになっちゃったのか今でもわかんない。

あれは忘れもしない、ママに言われて納戸の掃除をしてた時のことだった。
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